古出雲街道と地元では呼ばれてるような、出雲・尾道往還古道が国道R54から掛合で離れて、丘陵をいくつか通りすぎると、三刀屋への川筋になってきた。
アップダウンの連続は景色をしっかり記憶させてくれる。後日そのルートを思い出すに、老化してきても、鮮明なのだ。が下りの川筋はけっこうスピードもでて、あとから思い出すと、いつもどこだったかわからなくなってる。
飯石神社そばの、路地が交差して、中央に郵便局がある多久和の市場という、いかにも昔の賑わいが路傍のお地蔵様がのこしてる集落から、一気に下りとなった。
川風がこころよくて、いつも必ず選択する車道から分岐する古道をはずしてしまった。オット、ともどる。もどらなきゃいけない、と強い思いがある。
古道は対岸の車道と平行してから、尾根の中腹へとあがる。車道は下り基調。ウーンって感じののぼりやってると、ふと、ナニカの気配に振り返った。と、対岸の車道に鳥居があるではないか。選択まずった!と、足をとめた。神社のある車道の川岸にある、小さな集落に藁葺き屋根と直径20mほど高さ5mくらいの蔦で覆われた小山がある。饅頭のように平たい。
その家並み、といってもワラ屋根を入れて数軒へ、古道から、もっとほそい道がはいっている。
なにか強烈に引きこまれた。路地をくだり蔦の饅頭をぐるいと回ると神社。そこは出雲風土記に記載の粟谷神社だ。そこにあった粟谷神社概記という説明に、神社はあの蔦饅頭の上にあったが、火災でここに移されたとあった。粟谷の神様がここに風土記社があるのを、見逃すなと引っ張ったのか?いや、ここの不思議さがおまえ好きだろう、といわれたのか?
走って、やってくるこの時間、感覚って、なんだろうか?自分の中のナニカが何かと共鳴するんだ。そうして、ひどく懐かしいのだ。