こひちろうの独り言


マネージャーの独り言を綴ってみたりします。
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神の表札

10月の第二の土曜日曜の広島、南区丹那町の穴神社秋祭を手伝っていた。
神輿が、東の町はずれにある、御旅所の恵比須神社への巡行が始まって、人影も少なくなった境内にいると、お婆さんに声をかけられた。
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この町で生まれ、四十数年ぶりに祭りにきたと話されて、神社には100段の石段があったが?とその顛末を尋ねられた。人聞きに以前に整備されて広場がつくられたようだと答えると、南の高架の自動車道で遮られ見えなくなった海の景色が高台からよく見えたと懐かしがっておられた。

神社拝殿の背後のその海の景色正面に円錐形にとんがった山が小さくのぞいて見えた。これって、この神社と正対面しているのじゃないか?。海にむかって本殿がある神社は背後の山の神でなく、対面する島に関連しているように思えることがある。そして“円錐形”は賀茂の神、八咫烏の神の表札で、この穴神社となにか関係があるのか?と妄想が湧き出てきた。
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広島湾の南部、呉・休山、宮島、大野と烏伝承が点在し、山口の室津半島の賀茂神社、周防大島の三蒲は“御賀茂”からの地名だといわれ、大島大橋のそばの飯の山の容姿、
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岩国沖の柱島の賀茂神社と柱が神を数える単位であることやその島影
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、呉・休山の東の広から竹原、西条のある旧賀茂郡と賀茂神の痕跡が濃い。

穴神社の妄想は日本海へ走り出た。島根半島の北浦にある麻仁曾山は円錐形の秀麗な独立峰で古代の外港とされた千酌港へ目標の当山だといわれる。
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その麓の伊奈頭美神社の正月三日の祭礼、御的神事は海岸に緑豊かな枝を立て、そこに三本足の八咫烏がかかれた的を置き、矢を射るもので、ここにはるかな昔の賀茂神の到来を思わせる。
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穴神社にも賀茂の神がのぞいたことがあって、穴の神との饗宴でもあったのだろう、か。

麻仁曾山を囲む菅浦、稲積、北浦、千酌、の海岸は出雲国風土記の時代そのままの景色を残しているように思える美しいルートで、海岸のどこを覗いても、石神や祠が松に守られて鎮まってある。それらは、とても懐かしい者たちだ。これらの海岸の西の加賀からうまれた佐太の御子神の鎮座する佐太神社のすぐ南に風土記記載の加茂志神社があるが、祭神はイザナミ・イザナギとされていて、賀茂神ではないようだ。無念!なぜ、加茂なの。

京都・上賀茂神社の“立砂”はもっともシンプルに、都で上等にデザインされた象徴だろう。自分には都会のセンスでも“立砂”は砂山、いろいろな場所をうろついて見る円錐形の山に神々を見る。へそがまがってるから?
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円錐形の発見その都度、その傍へと引き込まれる。神社を探して、賀茂神を探す。賀茂は“神”だと語られることがあるが、円錐形って心の奥底までしみとおる「ナニカ」がある。それが “賀茂神”の正体だ。ただ、まだ不明さの中のナニカなのだけど。

出雲に出現した賀茂神はアジスキタカヒコネとよばれ、その名はアジ・すごい、スキ・鍬/農具という農耕の神とも鉄器の神ともいわれる。奥出雲の三沢に鎮座している。その妻、アメノミカジヒメの名」にあるカジ・梶も鍛冶がちらつく。この二人の間にタキツヒコノミコトができた、と風土記は語っている。このタキツヒコノミコトは島根半島中央部の神名樋山・カンナビとされる大船山にある石神とされる。烏帽子岩とも呼ばれる。円錐形がここにも表れる。
“カンナ”ビは、神隠び、つまり神が隠り鎮座します・ヨリチンザの意味、森林をさすことが多い。また出雲系といわれる神々の鎮座所に限るともいわれる(横田健一 飛鳥の神々)。

烏帽子岩の麓の多久谷あたりは、東に一幡薬師の谷、鹿園寺谷と北海岸へぬける道筋に田園風景がひろがっていて、稲刈りあとの田の野焼きに出会ったことがあった。谷、谷が煙に巻かれて車はヘッドライトしていた。集落そばの野火はとても珍しくどこか自然な営みに思えてか、懐かしい景色だった。自転車を置いて登った石神への尾根から見た、たなびく野焼きの煙が、野火をまだ許されるこの地を幻想に中で神々しいものだった。
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先日発刊された岩波新書“古代出雲を歩く”に「アメノミカジヒメは出雲市塩谷町に鎮座されていたアジスキタカヒコネに向かった位置で出産した、それを“向位・ムカイグラ”という。」とあった。
著者は出雲荒神谷博物館にお勤め。「ムカイグラ」は初めて聞く言葉だった。
生まれたタキツヒコノミコトのタキは多伎都比古と漢字されるが、タキは瀧だろうか。石神そばに滝がある。

アジスキタカヒコネがいたという塩谷の町で賀茂の神は出会っていないが、そのあたりはとても古い場所で、風土記時代の地図では出雲国の西の最も大きな平地。
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そこに流れ込む神戸川河畔には不連続だが、河畔に伸びるR184の対岸にスサノオの須佐神社方面に古道が残っている。一部は中国自然歩道にも指定されて須佐の上流から三瓶山の東側へ回り込み、またその支流にそれぞれに古道が残っている。ここの面白さは深い尾根底の道は午後には早くから暗くなり、民家も目印になる施設もなくて、自分の位置を失うことがあって、ホワイトアウトならぬブルーアウトしそう。日本海を背負う中国山地の山々や三瓶山、大山などの東側や南側には豊かな水流が多く、大きな滝もこの斜面に発達している。冷たい湿気のある風は夏走るにはもってこいだ。神戸川中流域に縄文の遺跡がみつかっている。その時代といまも渓谷の景色は同じではと、思うほど森が濃い。

神戸川河畔の古道の一つが出雲市塩冶で神戸川が平地にでる場所にある。その朝山には風土記記載の朝山郷庁舎のあったと推定される場所を通る道で、ホールドする時間が滲む出色の出来栄えコース。風土記時代の道だといえないか、いえる。この辺りは朝山郷六神山と呼ばれる山があると風土記に記載されているが、その場所の比定ができていない。このなかに稲積山の名があり、麻仁曾山のある島根半島の稲積をおもいだし、周防大島の飯の山をも、思った。

この古道から六神山の一つといわれる朝山神社の鎮座する宇比多伎山への登坂の途中に、風土記時代の古道のあった山が円錐形に見える。
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いきなりビックリ、ブレーキした。姉山と地図にあるが、六神山にある“稲積”ではないのか?イヤ、コレ、コレ、オレ見つけたゾ!と勝手に喜んだ。
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by forumhiroshima | 2016-10-13 10:19

砂の器

「昨夜の雨で、うずたかく積まれた鉄の切り屑は、一夜のうちに赤錆びていて、なま暖かい風が窓から工場の中に躍り込むと、久しく忘れていた匂いを嗅いだように、深い息をした。春は鉄までが匂った。 小関智弘・錆色の町」
エッセイストで旋盤工の作者の語る“鉄の匂い”。芸北の鍛冶屋、のちに自転車店であった老人が、砂鉄には匂いがあると話していた。

「今西栄太郎は、署長の好意で出してくれたジープに乗って亀嵩に向かった。道は絶えず線路に沿っている。両方から谷が迫って、ほとんど田畑というものはなかった。そのせいか、ところどころに見かける部落は貧しそうだった。
・・・仁多の町はこの地方の中心らしく、商店街も並んでいた。・・・眠ったような商店街の店先には、電気器具や、雑貨や、呉服物などがあった。「銘酒、八千代」の看板が目に付くのは、たぶん、この辺りで醸造される酒なのであろう。」
『松本清張“砂の器”』 亀高の巡査であった殺人事件の被害者を調べに奥出雲の仁多から亀高にむかった情景。栄太郎は刑事、映画では丹波哲郎が演じた。
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ここで書かれた鉄道、いまのJR木次線は出雲大川と古代呼ばれた斐伊川沿いではなく、まるで八岐大蛇のように大きく蛇行して、斐伊川に接するとすぐに山中へ向きをかえる。路線に沿って備後落合から宍道まで、太い、細い様々な道を走った。オロチルートと密かに命名している。
亀高の駅に東、横田から入った路線は反転して南下し仁多へ向かう。銘酒・八千代の醸造元の八千代酒造は廃業されて、奥出雲町出資の第三セクター・奥出雲酒造に変わり、銘酒・仁多米と名を替え、会社は亀高の町はずれで道の駅を併設し、以前TVドラマとして放映された「砂の器」のセットが店内に置いてあった。いまはどうなっているのだろうか。

JR亀高の駅は町はずれで、集落は駅の北3kmにあって“貧しそう”な町ではない。“道の駅”も駅から離れて集落そばにある。
亀高の南の仁多、東の横田、西の八代、北の比田と小さい盆地や川沿いの平地が点在して、どこも田園で静かで奥出雲の穀倉といわれる。

亀高の北になる比田に伝説がある。「播磨の北西部、伯耆の国(鳥取県)と県境に近い岩鍋、今の千草町岩野辺から金屋子神が白鷺になって、西へ向かい、出雲の黒田の比田のカツラの木に止まった。白鷺を見つけたアベ氏に『金屋子神である、ここで鉄を沸かす、鉄を吹く』と神託があり、地元の朝日長者といわれる者がアベ氏を神主として鉄生産を始めた。
それは、天明4年の“鉄山秘書”に書かれている。 谷川健一・地名と民俗学そして日本」
比田・黒田には金屋子神社が鎮座している。この神社が出雲のたたら製鉄の神・金屋子神の本拠だという。谷奥で民家も途切れた高い杉の森に流れが淀む池を配置した、重厚な雰囲気の境内奥に金屋子の神が鎮座している。カツラの古木も点在している。

奥出雲にはたくさんのたたら製鉄の遺構が残っていて、それどころか横田の大呂では、今もたたらの炉が稼働している。大“ろ”と呼ばれる所以かもしれない。遺構の羽内谷鉄穴流が山の神神社そばに残されている。広島・県民の森比婆山の鉄穴流遺構よりも大きい。
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砂鉄は花崗岩の砂を水流で強く流し、もっとも重い比重の砂鉄が残ることで採取される。この砂を流すとき、石垣で囲った水流の受け皿を用意し、後にここを田として作り替える“流し込み田”がつくられ、奥出雲の棚田の景色を出現させた。
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これらの田で作られる米は美味しいとの評判がある。「土壌がアルカリ性である場合、鉄がほとんど溶けていないため、植物は鉄を吸収できずに鉄欠乏になります。土壌中の溶けにくい鉄を吸収するために、イネ、ムギ、トウモロコシなど主要な穀物が属するイネ科の植物は、キレート物質の「ムギネ酸類」を根から分泌し、土壌中の鉄を溶かして「ムギネ酸類・鉄」として吸収しますが、これはキレート戦略と呼ばれます。 東京大学 農学生命科学研究科 プレスリリース」

砂鉄を含む酸性土壌では、この戦略を起こすことなく稲は必要な鉄分を吸収できる生育条件に恵まれて、鉄分のつくるうまみを多く感じられるといわれる。亀高の銘酒・仁多米にもそのうまみが詰まっているというのが、ここの戦略なのだろう。
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低い尾根に囲まれた小さな谷あいの盆地の棚田の底の川そばの車道から見上げる尾根の森と田との境界線に鎮守の森がポツンとみられる。どんな神様がおられるのか?と思っても、圃場整備された直線の急坂は敬遠しがちだった。ある時、広島の備北・庄原の中山峠脇の集落に登って、さらに見上げた尾根に神社の森が見えた。そこにおられた老人に神社の名を聞いてみた。「神社はこの谷の最初に造られた田そばに鎮座されたもので、そばからこの村で使う谷水がながれ出る。この村創設の場所だ。」と話してくれた。その時から、尾根に見つけた神社へ登り、その尾根を越えて、向うの斜面の村へと、ルートをつくることにした。草深い山村の創設神話に出会える気分が、きつい上りにあっても、ゲンキがでる。

そんな尾根を超える峠の道はどこも走る車もたまであるように、落ち葉や枯れ枝におおわれている。そのとき“砂鉄の匂い”を、効けない臭覚を目いっぱい活動しようとする。また、砂鉄のある場所に群生するという“ヘビノネゴザ”と呼ばれる金山草・カナヤマシダを探したりする。
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今も残る流し込み用の水路跡(例えば芸北・雲月山)の記憶から、そこの斜面にカンナ流しの水路を空想する。まるで鉄山師気分。いや、金屋子神気分。奥出雲や備北の道沿いに、箒を逆さに植えたようなカツラの高さ十数mもある大木にであったりすると、鉄山師たちの亡霊が現れる。もう空想は確信にかわり、「よぉ!」。ご機嫌さま、になれる。
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古代出雲の中心地の国府所在の大庭に鎮座する神魂神社の参道は黒田畦にある。黒田は鉄のクロガネの黒にかかわっているのだろうか。祭神はイザナミ・イザナギで、神社そばにこの神を納めたという神納に剣神社がある。

古代出雲神話には、この国創設場面に登場する「三大神剣」がすべて揃っている。
一にスサノオが八岐大蛇を切り刻んだ天羽々斬剣・アメニハバキリ。大蛇の尾から出てきた天叢雲剣・アメノムラクモ。この剣は伊勢神宮に置かれ、ヤマトヒメからヤマトタケルに渡され、草薙剣・クサナギケンと名を替えいまは熱田神宮の神宝になっている。
オオクニヌシに国譲りを迫ったタケミカズチが稲佐浜で突き立てた剣先に空中に座った剣布都御魂剣・フツミタマは高天原に帰り、神武天皇が熊野で苦戦しているとき、高倉下・タカクラジの倉庫に投げ込まれ、神武天皇にわたり、戦勝した。この剣は奈良・天理の布留神社の神宝になっている。ヤマト朝廷創建の神話は、古代出雲を経由してしか存在出来なかったのか、と。華麗なる古代出雲の剣の軌跡を見る。
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イザナミは火の神カグツチを産み、火傷で苦しむなか嘔吐を繰り返す。その嘔吐物・タグリから金山比古神・金山比売神が出現している。奥出雲の金屋子の神も金山比古神だとされる。イザナミは火の神を産む神としても記憶されていたのだろう。

「古代の製鉄は、古代規模においては信じがたいほどに大きな自然破壊をした。一山を丸裸にして木炭をつくり、その火で砂鉄を溶かす。そのため地球の半乾燥地帯で興った文明の多くがほろんだ。樹木をうしない、再生できず、それまでの盛大な冶金が衰退してしまう。
その点、日本は多雨な地帯であるため、森林の復元力がつよい。大陸の古代文明からみるとはるかに遅れていた日本列島が、いったん製鉄がつたわると、数世紀後には鉄器が豊富になり、他のアジアとはちがった社会が構成され、歴史の発展形態もべつな形をとった。その底には、その問題があるのではないか。そう思いたつと、出雲へいってしまう。そんなのが、私の旅である。 司馬遼太郎 1983・11 街道をゆく 西日本編」

出雲は山を削り、砂を流して、国を創った。その国を「砂の器」と
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by forumhiroshima | 2016-10-02 11:47


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