備北山稜の吾妻山に冠雪の新聞記事に、こりゃあせらにゃイケン、と吾妻山の西にそびえる大万木山の東に備後と出雲をつなぐ峠へ。これを走れば、まがりなりにも両国をつなぐ峠で、ロードで走れるところを走ったことになる。冬が来る前に、完走したい。
新雪と、落葉してしまって遠くからはグレーにみえる広葉樹帯、その下に紅葉している赤や黄色、そして針葉樹の緑と、これらの山々は5色にそまる。これが、高地の晩秋の醍醐味。
高野の町の一番北の谷に広がる和南原へ。中国山地のすその中腹には、石見の出羽とか、備後の三和・口和・比和など地名に「ワ」がつく場所が広がっていて、一説に「和」羽は製鉄のふいごの表現だという。ふいごは鳥の羽ばたきから連想されたと。ロマンチックですきな話だけど、はたして?
その「ワ」の最終地点の和南原は、一面緑色。高地の今年最後の収穫のダイコンがひろがっている。
すでに収穫されたダイコンは沢沿いの小屋へ運ばれて、
クルクルだいこんをまわして洗う機械に流し込まれていた。その後、おおきな水槽でもう一度あらわれ、ハッパを切って、つみあがっていく。その小屋のまえで、しばし観察していた。
おにいちゃん、一本どうか!おにいちゃんと呼ばれて、とびあがるほどうれしかったが、自転車乗り、まさか腰にさして走るってわけにはいかない。
小屋の屋根にも昨日降った雪がある。その寒さのなかで、だいこんが真っ白になって、緑の葉っぱがいっそうあざやかになる。まるで五色に染まった山の両端をぎゅーっとちじめたようだ。