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こひちろうの独り言


マネージャーの独り言を綴ってみたりします。
by forumhiroshima
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フジバカマ

黄金山の周回の古道沿いの民家の塀越しに山茶花が開きだした。

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朝の通学前の旧道はまだ静かでアスリート気分で走っているときに「アッ、サザンカ、ツバキ?ドッチ」とやり過ごした花が、スタミナが足れてツーリスト気分にかわってくると、写真でもとろうか!と足を止める口実になってくれる。普通に老いてきてますね。
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数年前に、もみの木公園のサイクリングコースがトップからワインディング始めたポントの夏の陽だまりに、白い小さな花が密集した手のひら程の扇形になっていて、その扇の塊にヒラヒラと動くものたちを見つけた。いい気分の下りコースでも、でも、ブレーキレバーをひいた。あのシーンかもしれない。

フジバカマ_d0089494_08154522.jpg

ずっと以前、芸北の臥龍山から掛頭への縦走路の緑の森の木漏れ日をスポットライトにした蝶の群れにつつまれたことがあった。そこに木漏れ日をかき回すように白い虫取り網が振り回されて、そして老人があらわれ、それはギョッとする仙人と、のような出会いだった。

蝶の名は、を聞くと、アサキマダラだと教えられた。すこし地味ですね、蝶は派手な、例えば夜の蝶なんて・・・と軽口がいけなかった。この蝶は、フジバカマに集い、台湾へと半島へと海を渡るのだ!とすこし怒った、いや屈辱されたかの熱い感情が降りかかってきた。MTBで下ってきたことも、御不満だった様子。少々の説教の時間があって、また網が振られ、採った蝶を確認して放す作業が目の前で始まった。

何処かで採取されて、羽に場所と日付がマーキングされているか、を確認しているのだと、まだすこし青みがかった、わからんだろう!の拒絶のまなざしで見据えられた。忘れられない。白いフジバカマの花にMTBが寄りかかっていることにヤット気づいた。

フジバカマ_d0089494_08161718.jpg

八ヶ岳の谷にフジバカマを畑に栽培し、アサギマダラを待っている、いや旅立ちへの応援をしている夫婦をTVが放映していたのを見たことがある。夏の終わりに、もみの木公園のフジバカマの花が終わって、薄毛にまとわれた種たちをコースのそこかしこに振って歩いている。この蝶、“なにかもって、なにかを変化させる”。

もみの木公園にもアサグマダラが現われている、ヨ!あの芸北の青いまなざしの老人に伝えたいと思った。

フジバカマ_d0089494_08164410.jpg

先の戦争に出兵した学徒が前線で博士論文を完成し理学博士となったとの話題をもつ植物学者・前川文夫が、大陸で見た人里の様々な観察から日本に古代に渡来した稲作に伴ってやってきた植物を「史前帰化植物」と区分した。

「九州・佐賀県、唐津平野の菜畑水田縄文晩期遺跡、福岡県、福岡市博多区の板付水田晩期遺跡は水田造成、農具は高度な技術水準であるといわれる。稲作農業は中国大陸ではすでに4000年という長い実績を経てきて、すでにあらゆる条件に適応できるレベルで紀元前400年前後に横滑り的にわが国へ入ってきた結果によるのである。 水田の考古学・工楽善通」

稲作農業を新天地で展開できた人々、この国のパイオニアたちの痕跡は九州だけでなく、岡山市・松山市・高松市・姫路市・松江市・井波氏・茨木市・東大阪市など挙げられている。何処にもある「ワダ」の地名もこのパイオニアたちに関わるそれは、、というロマンもある。「ワダ」へと、走りたくなる。

「史前帰化植物」には稲作に伴って渡来した、“水田雑草”、畑に伴った“畑雑草(人里植物)”、そして畔などに成長する“田畑共通雑草”に区分されている。前川文夫はこの三種を約120の植物としてリストアップしている。

“水田雑草”は田植えに合わせて芽生え、稲刈り前に実をつけ種子を散布させ冬には土に潜む。秋の七草のなかに挙げられるものが多い。“畑雑草”は稲刈りのあと日差しをうけた田に芽生える。春を彩る花々で、それらの中で、春の七草にもあげられている。麦作伝来に伴われたとも、いう。

稲作が始まってからの景色に、稲作以前の縄文時代の植物たち・日本原産の花々は人々の生活圏にはほとんどみられないのではないか、といわれる。七草の選択基準の意味は今誰も説明しきってはいなようだ。だが、その草々に稲作の景色を感じることは、だれも同じではないだろうか。

「九州の菜畑遺跡、板付遺跡の開発期の水田土壌には申しわせたようにツツジ類の種子がかなり多くみつかっている。この灌木は縄文時代以来の自然林を切り開き、水田となった周辺の閑地には、春になるとツツジが咲き誇っていたのだろう。弥生人はこんな景色を眺めながら、田植のための田ごしらえをしていたにちがいない。水田の考古学」

いまは住宅地になるのか、新しい開墾地が放棄されて野に帰るところにツツジは最初に繁茂する。おなじ景色が生まれる。稲作伝来の開発最初の景色がいまも昔も同様にこの国の大地に生まれている。開墾地に田作りされた里山の景色は2000年以上も繰り返され、自分のDNAに、いや魂にインプットされているといえるのかもしれない。田園のあぜ道や棚田のトレッキングから生まれるなつかしさで確かめられる。

秋の七草にライアップされているフジバカマは“水田雑草・畑雑草・田畑共通雑草”の中には挙げられていない。だが「中国から有用植物として持ち込まれたもの、或いは、古里を思い出させるもの」としてもたらされた、と前川文夫はいう。フイバカマは薬草で利尿作用があるという。

パイオニアが伴ってきたフジバカマの花が咲くころ、アサギマダラは海を越えて、パイオニアたちを訪ねてきたのだろう。そしてまた海を渡るのだろう。

あの青い目の老人は、そう考えていたのかもしれない。彼の魂は蝶たちと海峡を超える旅へ出ようとしていたのだろ。拒絶の眼差しは、これからの冒険への勇気があふれ、こぼれていたからだろう、と。


by forumhiroshima | 2017-12-13 08:17
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