たとえ、ショートカットばかりのサイクリングであっても、終了は温泉でなくちゃいけない。車で移動して走り出すいまのスタイルでは、終わってのビールができなくなってしまったのだから、シャワーなんてものじゃなくて、温泉。日本人の常識なのだ。
たくさんの入浴施設ができてきて、温泉が日帰り入浴ってスタイルにかわってしまったけど、宿を求めて、いっぱいやって、マサージ。その間は温泉。が夢なのだ。このごろ老人感覚が日々つよくなって、「わしがしたいように、する!」ってことが、そしてワガママすることが、いっこうに不思議じゃなくなって、どんどん社会生活から脱落してきてるのだけど、温泉に入って、今日はここに泊る!そしてお店は休業!ってほど勇気もなければお金もない。だから社会生活にかろうじて引っかかっていきてるのかもしれない。
東城の町から道後山へ国道をはしると、古びた温泉のカンバンが二つ。サイクリングの帰りにそのひとつへ飛び込んでみた。
玄関は開け放たれて、誰もいない様子。声をかけるとしばらくしてご婦人があらわれた。営業されてるのか?とお風呂つかわせてください。ハイ、料金は400円。お風呂は階段を下へ。
川面の反射するカゲがひくい天井にるらめいている。ちいさな引き戸が二つ。男用は川からはなれた場所。女用はだれもいないようで、こっちにしようか?とすこし不埒な気分。を抑えて暗い更衣室へ。風呂もちいさなものだけど、かすかに温泉のにおいがする。
石鹸はあるがシャンプーはなし。でも私の頭ではどちらだっていいのだ。電灯のスイッチはさがしたが、不明。隣の浴槽からは川がみえそうだ。
その暗さが湯船にはいると落ち着かせる。ここはイイ。あがってビールやってしまおうか?玄関のある一階へ。おばさんが。もうあがったの?宿泊はできるのですか?と一応たずねて見る。イヤ、6時で締めます。
そうだよな、商売って自分の都合でいいのだよな!と、共感。
翌週の東城めぐりのあと、訪れた。外に石油のタンクローリーが止まって、おばさんと運転手が折られる。入浴したのですが、と、話のじゃまにならないように、400円を渡そうとすると、今日から500円になったのよ。
重油値上がりなんですね。
暗い浴槽につかってると、今回は、いきなり蛍光灯がついたよ。