もうずーっと昔、広島の県境の峠を選んで走っていたことが或る。峠のトップで折り返すとヒルクライムで向こう側へおりてもどってくるのがパスハン。という勝手な決め事だった。峠ハンティングってことなんだろう。
そんな大それたサイクリングをこの年で考えるなんて思ってもみなかったのが、先日出雲と備後の県境の俵原峠を備後・高野から出雲へ下った際、この道、もしかすると「奇跡ののぼり」じゃなかろうか?と。
「奇跡ののぼり」とは、いつも間にか、急坂もなく上がって、来た道のそばにあった集落の屋根がちいさい!って坂をいうのだ。それなら、折り返しのサイクをしなくてはいけん!
が、問題がある。先日下りやってるから、同じことせずに登りだけ。となると、俵原峠の東の吾妻山の峠を経由して、この峠へってことにした。
吾妻山の西尾根をこえ馬木の集落へ下りる峠の名はしらないが、標高900mだそうで、マーイイカ?。
どこまでも青い空で紅葉は油絵。木屋谷の集落から俵原峠へ。「奇跡ののぼり」はそこにあった。
トップから路面が黄色一色に染められている。落葉する針葉樹・カラマツの林をぬけてゆく。
シベリアのタイガの森はこのカラマツだそうで、唐・カラがつくのは輸入された外来種ってこと。それが自生するのは長野や山梨の中央部の山岳地帯だけだそうだ。このカラマツの紅葉が自分は大好きで、吉和や芸北のカラマツ林をこの時期おとずれることが多かった。そこより、ここはズーットすごい。
シベリアでは夏に溶け出す永久凍土のわずかな水で成長するそうで、荒地・寒地・乾燥に強い木だそうだ。この俵原も荒地になるのだろうか。広がるススキの原にカラマツが林立して、その向こうの尾根の紅葉とその上の青空。
中国地方のカラマツは人の手で植えられたものしかないのだそうで、そうしてくれた誰かに感謝しかない。