天神の里から、渓流へ下る。細くて車での離合困難って道だけど、これは県道です。
川の側へ台地から下った場所に天瀬・アマガセ?という地名をめざした。ちいさな橋に一ツ橋とあって、たしかにこのあたりでは橋はこれぐらいなのか?と思ったりした。
その橋を渡って正面の石灰岩の切り立った岸壁に大きく掘り込んだ文字をみつけた。「天見線起工記念」と大きく掘り込んである。昭和七年とそばに彫りこみもみえた。そばに自治振興会の掲示があって、「見内と天川の間に荷馬車が通られる事を願って人力で岩を打ち砕く難工事の末に昭和7年ようやく林道が完成した。その並々ならぬ苦労を讃え地域発展を祈るこころをこめ、一ヵ月半をかけて刻まれたもので文字の長さ十六メートルにも及び他に類例をみない」とある。
天神が天川なのか、他の場所なのか、地図に天川がみられないからわからない。帰って明治の地図をだしてみると、天神の場所には天川と記載がある。まあ、そんなことより、いまから75年ほど前にはここには荷馬車が入れなくて、荷馬車を必要とした時代だったということだろう。それから、きっとおおきな改修がなくて、細い幅のままで現在にいたる、ってことだろうか。
自転車をはしらせていると、この道が伸びやかな時をくれるし、ゆっくりとひらけたり茂みにはいりこんだりする景色が体全体をつつんでくれたり、と、うれしくてしかたがない。もし島根半島の日本海に望む港の集落からスタートして、出雲の古道をたどって、南下するとしたら、あの道とあの道を経由して、・・・なんとかこの天神の集落へくきそうじゃないか?そして、これから瀬戸内海へでるとしたら、ここからの道は、どこを走ることになるのだろうか?なんて、想像するだけでワクワクしてくる。そしてここはぜったいにはずせない。
「天見線起工」バンザイ!!バンザイ!!